「物流・検品」におけるAI活用法
物流業務のムダとムラを解消するAIの活用術
2019-09-05

急速なAIの進化は、かつて人手に依存していた業務の自動化・最適化を急速に進めつつあります。
その最たる例が「物流・サプライチェーン領域」です。
多種多様な種類を取り扱い、年間数十億個の荷物が行き交う物流シーンにおいて、AIはどのような活用法を見出されているのでしょうか。
今回は、近年進化が著しい物流業務のAI活用についてご紹介します。
目次
物流業務において解決すべき2つのこと
物流センターや大型の倉庫では自動化・最適化が進む一方、物流業務全体で見ると、多くの課題は山積しています。人材不足の深刻化が叫ばれる今、解決が求められている業務としては、主に次の2つが挙げられます。
課題1. 単調作業における人的コストの削減
1つ目の課題は、数ある単純作業の削減です。
ネット通販の市場が拡大を続ける背景には、24時間稼働し続ける倉庫と物流網が存在しています。
そして、その倉庫では、入庫管理のほか、商品の数や状態を確認する「検品作業」、配送先や荷物の種類・荷姿に応じた「仕分け作業」など、数多くの業務が行われています。
倉庫以外に目を向けても、顧客からの受注情報を元に配送手配・決済/請求処理を行う受注処理、配送ルートの最適化やトラブルへの対応など、あらゆる場面で人的コストが発生しているのです。
課題2. 異常検知・点検作業における品質の向上
2つ目の課題は、点検作業の品質向上(ミスの防止)です。
例えば、物流センターの入庫時においては、帳票に記載された品名・数量との差異がないかを確認する「検品作業」が行われます。
このような点検作業は、出荷する荷物についても同様に行われており、誤った品が混在していたり、商品の外観に異常(傷や穴開き等)が生じていたりすれば、荷物が配送ネットワークに流れる前に食い止めることが求められます。
では、これらの課題解決のためにAIがどのように活用されているのか、具体的に見てみましょう。
物流業務におけるAI活用術5選
AIの活用シーンは、物流業務の始まりから終わりまで多岐に渡ります。今回は5つの場面を取り上げ、ご紹介します。
事例① 入出庫作業を自動化 / 省人化
倉庫の入庫作業においては、多くの場合、商品のパッケージやタグを目視で確認し、商品名や型番をWMS(倉庫管理システム)等に入力する作業が発生します。
この作業は物量の増加に伴って増えることになるため、繁忙期には膨大な作業量が発生することになります。
こういった入庫作業では、AIの画像認識を活用することで、大幅に作業時間の短縮、業務の効率化が実現しています。
これまで人間が目視とパソコン入力する必要があった検品業務を、半分以下の時間で実施することが可能です。
事例② 受注処理の自動化
入出庫作業と同様に、物量の増加に伴って激増する業務が「受注処理」です。例えば、メーカーからFAXを使って寄せられる発注書。これらはフリーフォーマットのものが多いため、内容確認とデータ入力作業には人手が欠かせないものとなっていました。
このような多種多様なフォーマットの帳票を瞬時に読み取り、データ化する技術が「AI OCR」です。
AI OCRは、AIの画像認識を活用した文字認識技術のことで、ここで読み取った情報をデータベースのマスタデータと突き合わせることで、高精度な文字認識を可能としています。
結果的に、約9割の文字情報を読み取り、作業工数を70%削減した事例もあるなど、今後の更なる発展が期待されています。
事例③ 検品業務/異常検知を簡略化
AIの活用は、前述の入庫作業の他、出荷作業におけるピッキングや検品業務にも活用されています。
例えば、倉庫の棚から取得した商品群が、特定の顧客に向けて出荷する荷物として合っているか、出荷伝票と突き合わせを行う、といった業務で活用が可能です。
その他、倉庫内のフォークリフトの自動化も可能としており、これらを安全に運転させるためにも、AIの異常検知機能が重要な役割を果たします。
事例④ 荷物仕分けを自動化
倉庫や物流センターの荷物仕分けは単純作業が多い傾向にありますが、荷物の種類が多岐にわたる場合も多く、自動化が難しい傾向にありました。
しかし、画像判別AIとディープラーニング(深層学習)を活用すれば、こうした業務も自動化が可能になります。
画像判別AIとは、ベルトコンベア場を流れてくる数百種類以上の荷物の形状を自動的に判別することができる技術です。
ロボットによる積み込み作業や検品・梱包作業の自動化など、後の業務プロセスにも繋げることもできるため、物流センターや倉庫における多くの業務を自動化できる可能性を秘めています。
事例⑤ 運転事故管理の強化
最後にご紹介するのは、倉庫外におけるソリューションです。
倉庫内業務の自動化が実現しても、倉庫を一歩出れば、人間のドライバーが必要不可欠です。
そこでいま問題視されているのが、輸送車を運転するドライバーの居眠り運転です。
AIの活用は、このような居眠りを防止するためのソリューションも生み出しています。
例えば、運転中のドライバーを社内カメラで撮影して、AIが居眠りの予兆を映像から判別し、アプリから定期的に呼びかけを行ったり、といった活用方法です。
このように、AIの画像認識技術や文字認識技術を用いれば、物流業務における多種多様な場面で自動化・効率化を実現することが可能です。
画像認識技術で物流シーンにおける業務課題を解決する「AMY INSIGHT」
これまでにご紹介してきた仕組みは、部分最適ではなく、物流ネットワーク全体を捉えた全体最適の視点に立って実現していく必要があります。そこで、これらの仕組みをトータルに実現するソリューションがAutomagiの「AMY INSIGHT」です。
「AMY INSIGHT」を活用することで、特定の業務のみならず、映像・画像・文字認識の技術を用いた様々なシーンの業務効率化・品質改善が可能です。
この記事でご紹介したような、物流業務における具体的なAI活用方法・事例を、以下のページでもご紹介しておりますので、物流業務に課題をお持ちの企業様は、是非こちらもご覧ください。